そうです。まず兄が空手からボクシングに転向して、その練習を見学する機会が結構あったんですよ。そこで兄が練習する姿を見ていると、空手の時よりも楽しそうに練習しているんですよね。「何が楽しいの?」って聞くと「空手はどちらかというと"我慢くらべ”。けどボクシングは"もらっちゃダメ”なんだよ。パンチをもらわないように戦う駆け引きが、空手とは違った楽しみ方で面白いよ」というのを聞いて、自分も興味を持ちました。
うんうん。
自分も考えて何かをするのが好きだったので、「ボクシングやってみたいな」と思って始めたんですよね。
それは何歳くらいの時だったんですか?
小学校5年生になった時ですね。
それまでは空手一本でずっと練習を?
はい。もうずっと空手一本でした。家で練習する時は兄弟仲良く揃ってやってましたね(笑)。
へぇー!兄弟で仲良くやってたんですか!では堤選手から見た「ボクシングの面白さ」って何でしょう?
やっぱり駆け引きというか、「相手が今何をしたいのか?」を考えて試合を組み立てるところが大好きですね。
それはボクシングを始めてすぐに、そういう面白さに気付くことができたんですか?
最初は上手くいかないことの方が多かったですよ。パンチもたくさんもらいました。でも少しずつ少しずつ成長していって、自分の戦い方の種類も増えて、「あ、こういうやり方もあるんだ」って気づけた時はすごく面白いと感じましたね。
”アマチュアボクシング界の怪物”と称される堤駿斗選手。その名を世界に轟かせたのは、高校2年生の時に出場した世界ユース選手権でした。誰も成し遂げなかった、日本史上初の金メダルに輝き、東京五輪での活躍も期待されている、今もっとも熱いボクシング選手です!
練習で限界まで追い込んだ時は、立ってるのが苦しくなるくらい辛いですね。練習は辛いです。とくに筋トレは嫌いでしたね(笑)。
たとえばランニングであれば、いつもどれくらい走ってるんですか?
基本一日7kmですね。
一日7km!?
はい。東洋大学ボクシング部では7km走るって決めているんですよね。22分ちょっとくらいで走っています。
7kmを22分で中々走れないですよ!調子が悪い時もあるでしょうし…モチベーションはどんなふうに維持してるんですか?
負けた試合を見ます。
え、負けた試合?
はい。負けた試合を見返すとやっぱり「悔しい」っていう気持ちがわいてくるんですよね。
勝ってる試合じゃなくて、負けてる試合じゃないとダメなんですか?
はい。負けた試合を見た方が、「次は勝つ」って自分のやる気になりますね。
では試合で負けた時の気持ちの戻し方はありますか?
「先を見据えること」ですね。やっぱり負けて終わりじゃないので。もちろん負けたくはありませんが、その「負け」を次に活かす活かさないは自分次第だと思います。くじけていつまでもへこたれているよりは、「次に勝つためにはどうすればいいか」を考えています。
今は生活の中心にあるものですね。常にボクシングのことを考えています。
生活の中心であり…更には?(笑)
自分自身に夢を見せてくれるものでもあります。楽しみを与えてくれるものというか。
ありがとうございます(笑)。将来的に自分はどう在りたい、どうなっていたいと思いますか?
そうですね。25歳には世界チャンピオンになって、ボクシングという競技をもっと盛り上げていきたいと思っています。
すごいなぁ…まだ若い年齢でここまで考えてるなんて。そんな「夢」を実現させるためには、何が大切だと思いますか?
常に向上心を持つこと。自分の目標に向かって「今何が必要なのか」を考え続けることが大切だと思います。
僕たちの会社も堤選手と変わらない年齢の子たちが頑張って働いていたり、これから就職していくっていう子たちもいるんですが、たとえば堤選手から「夢に向かって頑張る同世代へ伝えたいこと」って何かありませんか?
そんな偉そうなこと僕には…(笑)。
偉そうとかじゃないから!(笑)
分かりました(笑)。そうですね。ひとつでも夢や目標を持って生きていると、日々楽しく充実して過ごすことができます。そしてその夢の実現のためには、一日一日を大切に過ごすことが大事だと思いますね。僕も頑張るので、一緒に頑張っていきたいですね。